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「聖地チベット―ポタラ宮と天空の至宝」展
 

上野の森美術館で行われている「聖地チベット―ポタラ宮と天空の至宝」展に行ってきました。
3連休ということもあって大盛況。来館者も若者からお年寄りまで実に幅広かった。
あと、特筆すべきなのは、会場の前には「FREE TIBET」の旗を掲げた運動者たちの姿もあったこと。これは他の展覧会には見られない光景ですね。政治的なことが絡む展覧会ってそうないし。

同じアジアだし顔も日本人と近い民族性があるけど、その文化については、ほんの上辺だけしか知らないんじゃないかって思って、今回の展覧会に行ってみたんだけど想像以上に奥深い世界でした
私が知っているチベットの知識といえば、ダライ・ダマにラサ、ポタラ宮、仏教に曼荼羅。
改めて思い起こしてみても、これくらいしか思い浮かばない…
歴史についても、世界史でやってるはずなのに音声ガイドを聞いてもさっぱり思い出せずでした…。

日本の仏像は、静的で穏やかな笑みを湛えていて性別を感じさせないものが多いけれど(不動明王とかは別だけど)、チベットの仏様は目を見開き、感情を露にしていて、性別がしっかりあったのがとても印象的でした。
そして、どれもこれも金色に輝き煌びやか。細密な装飾と宝石がちりばめられ、とても豪華でした。

の写真にもある「カーラチャクラ父母仏立像」は男女が抱き合ってる像で、男性と女性それぞれが持つ能力が1つになって仏となるっていう考え方にとてもショックを受けました。
それぞれ四面の顔を持ってるんだけど、向かい合っている顔が鬼の形相
抱き合ってるのに、そんなに恐い顔しなくても・・・。
手も何本もありそれぞれに仏具を持っていて、足元には悪魔や獣を踏みつけているという迫力の像でした。

他にも、男性の修行僧をサポートする女性の仏の像っていうのがあったんだけど(目録にしるしを付けてくるのを忘れたため名前がわからない;;)、“喜ばせ続けることができれば快楽の末に悟りを得ることができるが、機嫌を損ねると食いちぎられる”的な説明がついていて、それを読んで思わず笑ってしまいました。
いつの時代も女が強いってことは変わらないとしても、宗教の教えとして盛り込まれてるってすごい
苦行の末に悟りではなくて、快楽の向こう側に悟りがあるっていうのも、すごい発想。

あとは、タンカという掛け軸のような仏画も、とても興味深かったです。
一番古いものは14世紀のものが出展されていて(ライトを直接当てると劣化する恐れがあると思われるため、薄暗いところで展示されてた)、その長い歴史を物語っていました。
細密な絵の描写や極彩色の色遣いもさることながら、私は布に注目してみてきました。
模様が描かれているものもあれば、鶴や「壽」の文字がパッチワークのように配されているもの、卍模様がたくさんが入っているもあって、そのいい意味でのごちゃ混ぜ感が、私の中のチベットのイメージにピッタリでした。

髑髏をあしらった装飾が多かったのも印象深かったなぁ。
中には高僧の頭蓋骨や大腿骨を用いて作った仏具なんていうのもありました。
人が亡くなったら、その魂を空へ登らせるために鳥に与えるというお葬式を行うチベットの風習を考えると、肉がなくなった後に残される骨っていうのは、身近なものなのかもしれない。
墓場を守る神様「チティパティ」っていうのがいるんだけど、この神様の姿は小さな髑髏が5つ付いてる頭飾りをつけた骸骨なんだけど、耳は縁起がいいとされる七色の扇が付いているというもの。
ユーモラスというかなんというか、こんな格好の神様はありなんですか?!って、ツッコミを入れたくなるほどのビジュアルでしたw

この展覧会は、チベットいう国とその文化に触れることはもちろんのこと、仏教に対するイメージを根本から覆してくれる、ものすごいエネルギー溢れていて、終始圧倒された展覧会でした

art 23:20 comments(0)
熊田千佳慕さんの美しい虫たちの世界
日曜日、銀座松屋で行われている「99歳の細密画家 プチ・ファーブル 熊田千佳慕展」に行ってきました。
白寿、そして、ライフワークとしてきた『ファーブル昆虫記』の新作が約10年ぶりに発行されたことを記念して企画された全国巡回展で、その皮切りがこの東京展です。

展覧会は「絵本館」「植物館」「昆虫館」「動物館」「ファンタジー館」「制作の小部屋」の6部構成で、約200点が出展されています。

虫全般がとても苦手な私なんだけど、クマチカさんの描く虫たちは実にかわいらしく、そして美しい
虫と同じ目線で地面に這いつくばりながら見て、良く見て、そして見極める。
その場でスケッチはとらずに、自分の頭の中にその虫の造形美をインプットし納得してから描き出す世界は、とても繊細で90歳を過ぎてもメガネをかけないというその観察眼には驚くばかりです。
表情がない虫たちなのに、台詞や個性を感じることが出来て、さらに描き出された世界の中でどんな風にストーリーが広がっていくのかイメージしたくなります。

植物も同じで、緑がイキイキと輝き、見事に咲き誇っている花のもっとも美しい瞬間をそのまま切り取ったよう。
葉脈や光の当たり加減で微妙に異なる色の変化を、絵筆一本で描いているなんて想像できません
そりゃあ、一枚に数年を費やすこともあるっていうのがうなづけます。

動物は、虫と違って表情があるからさらにキュートさが増しています
自分達夫婦をイヌに見立てて描いた自画像をはじめ、ネコ、ウサギ、キリン、カンガルー、パンダ、サル、ライオン、クマ・・・見応え十分すぎるほど、魅力的な動物達の表情を見事に捉えています。

あと、クマチカさんの作品で面白いのはタイトル。
たまに「こんなタイトルつけるのねw」って思わず笑ってしまったり、吹いてしまいそうなタイトルがあって、ユーモアセンスに富んだ人だったんだなぁって思いました
ネコの絵に「ミャーン」って。反則すぎるくらいカワイイ

展覧会の開催を見届けるかのように、翌13日、クマチカさんはこの世を去られました。
会場入り口には、生前に千佳慕さんが書かれたごあいさつ文と近影写真、そして、ひっそりとお花が生けられていたのが、とても印象的。
「やぁ、いらっしゃい。楽しんでいってね」とでも言ってくれているような、そんな優しい笑顔のクマチカさんが迎えてくれます。

目をキラキラ輝かせて、虫や植物を見つめ続け、それを描き続けた一人の“少年”。
私が持っているクマチカさんのイメージはこんな人。
でも、その生涯は苦労の連続だった方です。

1911年(明治44年)生まれ。得意の絵を生かしてグラフィックデザイナーとして就職するも、戦争に召集。
体が弱かったこともあって、前線に配備されることなく実家に戻ることが出来た直後に真珠湾攻撃が起こり、非常に苦しい生活を余儀なくされる毎日。
終戦後は、本名の熊田五郎として絵本作家としてデビューを果たしました。
今回の展覧会にも1950年代に発売された「ふしぎの国のアリス」や「オズの魔法使い」「ピノキオ」などが出品されていたんだけど、その細やかな筆遣いとキャラクターの描き方は、外国人作家が手掛けた絵なんじゃないかと思うほど、オシャレ・かわいらしさ・美しさを兼ね備えていたことに脱帽。

そして、『ファーブル昆虫記』を絵本にするという話が舞い込んできたのが50歳半ば。
それから約10年をかけて書き直しや加筆を行い、1981年にようやく千佳慕版『ファーブル昆虫記』が発売されました。

その2月。絵本の国際コンクールに原画が入選を果たし、一躍脚光を浴びることになりました。
さらに念願かなって、ファーブル博物館で特別にファーブルが着用した帽子を被り、愛用の机と椅子に腰掛けて顕微鏡を覗かせてもらうというスペシャルな出来事も。
この時の様子が写真に収められてるんだけど、全身からワクワクとドキドキが溢れていて、観ているこっちが思わず口元が緩んでしまうような一枚でした。

ファーブル昆虫記のために目標100枚は達成できなかったけど、きっと天国で虫や植物と戯れながら、続きを描いていらっしゃるに違いないと思います

私も小さい頃は虫をじーっと見ながらこんな風に見えてたかもなぁと、なんだかノスタルジックな気持ちにさせてくれる展覧会です。
大人も子どもも楽しめる、そんな展覧会です

▼東京
2009年8月12日〜24日 松屋銀座

▼京都
2009年9月9日〜21日 京都高島屋

▼兵庫
2010年4月10日〜5月23日 伊丹市立美術館

▼福岡
2010年5月27日〜7月11日 福岡県立美術館

▼名古屋
2010年7月21日〜8月2日 ジェイアール名古屋タカシマヤ
art 21:54 comments(0)
ゴーギャン展に行ってきました
世の中、芸能界と薬物についてのニュースが延々と流れてますが、そういうことにコメントしてもしょうがないので(のりぴーの逮捕状はさすがにビックリだったけどねぇ)、今日の出来事を。

タイトルの通り、東京濃国立近代美術館で開催されている「ゴーギャン展」に行ってきました。
会期中の金・土曜日は開館時間を20時まで延長しているのと、不安定なお天気ってこともあって、館内は空いていてゆっくりと観ることができました。

ゴーギャン→タヒチ→南の島→楽園っていうイメージしかなかったのと、あまりにも有名な「我々はどこから来たのか 我々は何者なのか 我々はどこへ行くのか」と「かぐわしき大地」ぐらいしか知らなかったので、ある意味、とても衝撃を受けた展覧会でした。

作品を観ていると、よく肥えた土のにおいや、木をくべて火をおこすにおいや雨に濡れた植物のにおい、そしてそこで生活している人たちのにおいが、会場全体に立ち込めているような、そんな感覚になりました。
ゴーキャンの描く南国は、漲る生命力とその裏に存在する死の世界が同居していて、ひとつひとつの作品がとてつもなく重厚でした。

度々同じポーズやモチーフが出てくるので、それらが指す意味を覚えてしまえば、その絵でゴーギャンが描きたかったテーマが見えてきます。
そのいろいろな意味を持つ場面を散りばめて、一枚の絵に仕上げたのが前掲の「我々は・どこから来たのか ・・・」。
ゴーギャンの遺言とも称される最高傑作であるこの作品が、今展で日本初公開されます。

画面右に描かれた赤ちゃん。左端に描かれた老婆。そして同じ画面に描かれた女性や動物たち。
こちらに視線を投げかける人もいれば、何を見ているのわからない人もいたり、2人で話し込んでいる人もいる。
それぞれが独立した意味を持っているんだけど、パズルのように組み合わさって壮大なテーマを内包した作品でした。
とても穏やかな印象を受けることもあれば、胸をかき乱すようなざわざわした気持ちにさせられたり。
考えれば考えるほど、この絵に描かれたメッセージの壮大さに、自分がどんどんちっぽけに思えてきました。

フランスに生まれ、“未開の地"を求めてタヒチに渡ったゴーギャン。
晩年はタヒチよりさらに未開であるマルキーズ諸島で過ごし、最期を迎えました。

フランスという当時の世界最先端を走る国のひとつに生まれた彼が、“未開”“野蛮”を求めて南の島へ移住したのは、究極のロハスな生き方なのかもしれない。

南国の文化や生活様式をフランスで紹介するということにも尽力したという点も、すごい。
自分達とは異なる文化を持つ人々を理解するっていうはなかなか難しい(それを理由に度々争いが起こってきたという歴史があるわけだし)。
当時は評価が得られなかったとしても、現代に生きる世界中の人々がゴーギャンの作品に惹かれるのは、多様な文化を受け入ることができるようになった証であると共に、それ以上にゴーギャンが描き出した世界が、人間の起源的な生きる力を死を受け入れる力、そして自然の力強さを見事に凝縮されているからに他ならないんだろうなぁ、と思いました。

7月3日(金)〜9月23日(水・祝)
東京国立近代美術館
一般1,500円
会場内は作品保護のため、若干ひんやりしています。
長時間いるつもりの場合は、軽い羽織物が一枚あるといいかも。

art 23:41 comments(0)
奇想の王国 だまし絵展
conceal cafeを予定より早く出ることになってしまったので、bunkamura・ザ・ミュージアムで開催されている「奇想の王国 だまし絵展」に行ってきました。

人の視覚の盲点というか面白さをうまく活用してして生まれただまし絵。
その起源は16世紀頃まで遡るというから驚き

額から飛び出してくるような人物画、木の板の上に絵が描かれていると思いきやその木目も実は描いたものという、デッサン力と色彩力とユーモアが合わさった技法「トロンプルイユ」は、ただただ「お見事」の一言でした。

そして、今展の目玉はアンチンボルト作「ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)」。
ポスターにも使用されているから、見た人も多いのでは?
数十種類の野菜や果物を組み合わせて描いた作品で、今回が日本発公開

素晴らしい画力で一つ一つのモチーフが描かれていてボタニカルアートの観点からしても素晴らしいんだけど、それを一歩引いて見てみると・・・肖像画に見えてくるんですね

ヨーロッパの古典的な作品から、アメリカの作品群(狩猟がテーマになっているものが多かった)。
マグリットやダリ、エッシャーといった独自の世界観を生み出していった20世紀の画家たちの作品。
さらに、国芳や広重といった日本の画家による洒落の効いた作品をヨーロッパの作品と比べてみることも出来て、面白い。
そして、最後は現代アート。オブジェや絵画などいろいろな作品があって、どの作品にも欺かれているような気持ちになるんだけど、その心地よい「だまされた!」感の余韻に浸りながら終了

休日ということもあってか、チケットを買うのに10分待ち。
老若男女楽しめるテーマってことで、小学生と一緒に来る親御さんの姿も多く見受けられました
それに順路なしでbunkamura・ザ・ミュージアムっていう会場柄もあると思うんだけど、それぞれが思い思いにおしゃべりをしながらワイワイ絵の世界を楽しんでるっていうのが、とても印象に残りました。
美術館とか「何かを見る」ことについて出来るだけ静かにっていうことをどうも意識してしまいがちだけど、今展はそういう気遣いは一切無しでいろいろとおしゃべりをしながら見ることが出来ます
(ただし、ちゃんとマナーは守りましょう。)

美術館ってどうも苦手・・・という方にもオススメ

6月13日〜8月16日
bunkamura・ザ・ミュージアムで開催中


art 00:24 comments(0)
カルティエ展に行ってきました。
東京国立博物館・表慶館で開催されている『Story of…カルティエ クリエイション〜めぐり逢う美の記憶』展に行ってきました

薄暗い室内に浮かび上がる眩いばかりのジュエリーたち。
七色に輝くダイヤモンド、柔らかな光を放つパール、目の大きさはあろうかというルビーやサファイヤなど色鮮やかな宝石たち。
そして、石の魅力を引き出しさらに高める繊細で美しいデザイン

私が知っているカルティエの知識って、ビズモチーフのラブリングと赤いロゴのイメージくらい
そんな状態で見に行ったから余計に、カルティエがアジアやインド、エジプトからインスピレーションを受けてデザインされたジュエリーのデザインや色使いの独創性にはビックリ。
伝統を守りその伝統をさらに磨き上げていくという側面と、常に新しいものを吸収しそれを形にしていくという側面、両方を持ち合わせているカルティエの懐の深さを見せ付けられた気がします。

さらに最後の部屋では、「今展の思い出に・・・」と香水が香っています。
記憶を嗅覚に焼き付けるなんて、実ににくい演出
こういうちょっとキザだけど実に印象的な演出がさすがフランス気質って感じ。

贅を尽くした約280点ものジュエリーを目にすることなんて、滅多にない経験。
一体この会場だけで総額いくらなの?何十億?何百億??
それくらい圧巻の出品点数です。



会場となった表慶館は、明治初期に建てられた洋風建築で重要文化財。
ドーム屋根のグリーンが美しく、正面入り口前には阿吽のようにライオンが鎮座している重厚な作りで、建物内の両サイドには2階からお姫様が手すりに手を軽く添えながら優雅に降りてくるような螺旋を描いた階段。
この会場だからこそ、カルティエのジュエリーが何倍も輝いて見えるんじゃないかな?
建物とジュエリーのコラボレーションとも言える素晴らしい空間でした

表慶館を少し奥に行った平成館では阿修羅展が開催中。
GW中は両館とも夜8時まで開館しているので、阿修羅展で仏教彫刻を堪能してから、表慶館で宝石の美に触れる1日なんていうのもいいかも

展覧会HP
http://www.storyof.jp.msn.com/

会期:5月31日(日)まで

料金:一般1400円

art 00:49 comments(0)
テオ・ヤンセン展に行く


「天才たけしの誰でもピカソ」で紹介されていたのを偶然見て「これは見てみたい!」という衝動に駆られた日比谷パティオ特設ブースで行われているテオ・ヤンセン展―新しい生命―に行ってきました。

プラスティックチューブで出来ている「ビーチアニマル」たちは、オブジェではなくて「生物」と呼んだ方がしっくりくるほど。
まるでナウシカに登場するようなちょっと不気味さを感じるほど「生」のエネルギーを放っていて、驚きと好奇心とほんの少しの恐怖を同時に与えてくれます。

筋肉や神経、関節など動く上で必要不可欠な要素を全てプラスティックチューブで形成しています。
アート/生物学/エコ/建築(設計)・・・いろんな学問&ジャンルを包括しているビーチアニマルたち。

会場には作品に触れる(動かせる)コーナーもあって、その動きを作品と一体となって体感してきました。
ものすごく軽くて足の1本1本は不安定に見えるのに、一つの作品となるととても安定していて、まっすぐに進めることができることにビックリ。

さらに、会場では1時間1回最新作のデモンストレーションが行われていました。
最新作では風をエネルギーに動き、障害物や水位の上昇を自分で感知して回避する能力まで備わっているというからさらにビックリ

横幅10mはあろうかという作品が、こっちに向かって足をもしゃもしゃ動かしながら迫ってくる姿は圧巻です

まだまだ進化の途中にあるという彼ら。作品の生みの親であるテオの力添えなしでも何年、何十年と生きていける力が備わった時、作品だけが海辺で生き続ける姿を想像すると、なんだか不思議でもあり、ほんの少し切ない気持ちにもなりました。

オランダ政府から助成金も受けて創作活動を続けているテオ・ヤンセン。
今後の動向も実に気になります

art 19:12 comments(0)
黒から色が見えてくる
先々週、お母さんの勘違いで開催前だった展覧会が始まっていたので、頂いた招待券を握り締めて再び行ってきました

展覧会は、「智積院講堂襖絵完成記念  田渕俊夫展」。
真言宗智山派の総本山である総本山智積院。
その講堂の襖のために描いた60面の襖絵を、一堂に披露する展覧会でした。

NHKの「新日曜美術館」で放送されたこともあって、時折雪も混じるというあいにくの空模様だったというのに場内はとても賑わっていました。
100号サイズの作品でも、人がその前に立ってしまえば、どうしても作品が見づらくなって、作品の前に人だかりができはじめるんだけど、今回は襖絵ということで、もともと“飾ること”と“使うこと”を踏まえた上で制作されていることもあって、とてもゆったりと見ることが出来ました。

江戸時代の古墨と筆2本で描いたという襖絵のテーマは「四季」。
講堂の部屋の名前から作者が連想をしたという四季の自然は以下の通り。

春は、満開の枝垂桜と芽吹いたばかりの柳。
夏は、葉を広げる欅の木と、まっすぐと伸びる青々しい竹。
秋は、たくさんの実をつけた柿の木と、晩夏〜晩秋までの経過を見事に描き出したススキの原。
冬は、雪がしんしんと降り積もる雪景色を2枚。
そして、朝陽と夕陽。

どの作品も、その景色の中に吹く風とか漂っている空気感が見事に描きこまれていました

濃淡をつけた墨一色で描いているんだけど、ずっと見ているとその植物の「色」が浮き出てくるように見えるから不思議。
それは、いろんな色を混ぜ込んで出来る黒という色がもつ力と、植物の生命力を描ききった田淵さんの画力、そして日本人が持つ自然に対する共通的なイメージと美意識がうまくかみあわさってこそのマジックのようにも思えました。

一緒に行ったお母さんが、朝もやけむる「朝陽」と夕焼け空の「夕陽」を見ながら、
「こうしてみると、“生まれる”っていうのは“瞬間”だけど、“死ぬ”っていうのは“時間の経過”が必要なことなのね」と言っていたのが、とても印象的でした。

人間、いつかは死ぬわけだけど、それがいつの話なんてわからないし、私のこの年ではとても自分が死ぬことなんて想像できない。
でも、その言葉を聞いて、「今こうしている時間も、自分の死に向かって刻々と進んでいるんだよなぁ」と思った次には、「どんな風に過ごせばこの絵のようなキレイな夕暮れを迎えられるかな?」と考えました。
きっと隣にいたお母さんも、同じようなことを考えてたんじゃないかな?


art 23:32 comments(0)
クレマチスの丘とヴァンジ彫刻庭園美術館
結婚式に参列した翌日、有休を取って以前から行きたかったクレマチスの丘に行ってきました。

三島駅から無料シャトルバスで走ること20分程度。
富士山麓の豊かな自然の中にある花・美術館・食をテーマとした複合施設が、クレマチスの丘です。
赴いたのが午後1時ごろだったこともあり、今回はヴァンジ彫刻庭園美術館のみを見学してきました。

ヴァンジ彫刻庭園美術館は、イタリアの現代彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジ(1931-)の個人美術館で屋外と施設内展示に分かれています。



左手に見えるコンクリートの建物が美術館の入り口。
果てしなく広がる空の下にぽかんと浮かんでいるような入り口で、どんな世界に繋がっているのかワクワクしてきます



「竹林の中の男(1994)」のアップ。
近くで見るとこのゴールドに引き寄せられちゃいました。
太陽光を浴びて顔がキラキラと光り、その様子を遠くから見ると結構怖いです


「うぉ危ない」と思ったら、あんなところにも作品が
いかにも落ちそうな危うさについつい惹かれてしまう作品。地階からこの作品の顔を見る事ができます。

屋外に展示されている作品は、ユーモアに富んだ作品もあれば、苦悩とか二面性とか残酷さとかを表現している思わず目を背けてしまいたくなるものも結構ありました。
曇りがちだったので、撮った写真が全体的になんだか憂いを帯びている感じになってしまい、淋しげな写真ばかりになってしまいました

この美術館、撮影OK室内もフラッシュを焚かなければ撮影していいとのこと
さすがに室内は・・・と思っていたもので、ちゃんと調べてから行けばよかった・・・と後悔

室内展示では、棚田康司展が同時開催中
同じ空間に配置されているので、ヴァンジと棚田さんのコラボレーションみたいになっていて、ここならではの展示構成になっていて、とても見応えがありました

塗られたニスがたまってキラリと光る目には、不安を帯びているようでいつも見入っちゃいます。
中性的(成長途中)な子どもをモチーフにした作品が多いけど、今回は明確に男女の違いがわかる作品も出展されていました。
これから棚田さんの作品がどう変化していくのか、楽しみです

美術館のあるクレマチスガーデンは、きちんと手の行き届いたステキな庭園で、今回はオフシーズンだから花も少なめでしたが、芝生がふっかふか
何度寝転がりたいと思ったことか(たぶん寝転がっても全然問題なかったんだけど、なんとなく一人では気が引けてしまった
そして、少ないながらも見事に咲いている冬の花たち。
野生のシクラメンも咲いていました



今度は花の咲き誇る+まだ虫の少ない春頃に行ってみたいなぁ〜
art 12:10 comments(0)
夜の庭園美術館と舟越桂の彫刻


28日(木)、東京都庭園美術館で行われている「舟越桂 夏の邸宅展」に行ってきました。
先週は夜8時まで開館時間が延長される夜間開館週間。
以前から夜に浮かぶアールデコの館に行きたいと思っていたところに、これまた大好きな舟越桂さんの作品展とあって、「何があっても絶対に行きたい!!」と決意してたのです。
スムーズに仕事が終わるかと思いきや退社際に電話を受けてしまって、雨が降った後の滑りやすい道を長靴ブーツでダッシュしないと最終入館時間に間に合わないという事態にジョギングプシュー

白金台駅から走った甲斐もあって、19:20に到着。
この展覧会は「ドレスコード割引」を行っていて、「木でできているもの」を身につけていくと1000円→800円になりました。
私は、木でできたネックレスをしていき、おずおずと「これ、ドレスコードで…」とお願いすると「あー、はいはい」としっかり安くしてもらえましたイヒヒチョキ

ただ、今回の見所は舟越さんの作品だけじゃない。
その作品が、どんな部屋に、どんな空間に配置されて、どんな世界を生み出すのか。
庭園美術館のお言葉を借りるのであれば、どんな“魔術的な驚きに満ちた「夏の邸宅」に変貌”するのかが、何よりの楽しみでした。

舟越桂さんの作品と“会う”のは、これで3回目。
以前、個展の紹介記事を書かせていただいたこともあり(そのときの日記はこちら)、近年発表されている「スフィンクス」シリーズは、その時も間近で鑑賞させてもらったのですが、庭園美術館に現れたスフィンクスたちは、さらに「異形なるものの神々しさ」パワーがUPしていましたup

さらに、スフィンクスシリーズ以外の作品たちとも初めて対面。
特に2階は、作品が各部屋に住み着いている(表現が失礼かもしれないけど)亡霊のような、そういう空気を発していて思わずゾクっとするほどの雰囲気が漂っていました。
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art 00:12 comments(0)
ミヤケマイの「ココではないドコか」展
前職で取材させていただいたミヤケマイさんの個展に行ってきました。

ミヤケさんの作品は、細かくてとても手が込んでいるのが一目でわかる!!
見れば見るほど「すごいなぁ」と思う作品たち。

そして、伝統的な「和」と現代の「ニッポン」が幾つも重なって生まれるパラレルワールドとでも言ったらいいかなぁ?ユーモアが効いていて、いつ見ても面白いっヤッタv

例えば、入り口にディスプレイされていた「風神」「雷神」。
風神にはなにやらダイ〇ンらしき掃除機が、「雷神」にはピカ〇ュウらしく黄色い動物が描かれていて、思わず「なるほど〜てれちゃう」と感激していました。
仙人がMac Bookを抱えてGoogleで検索してたりね。
モダンな雰囲気に中に今という時間を切り取って混ぜ込んじゃう、こういう遊び心がミヤケさんの作品の最大の魅力だと思うひらめき

日曜日は午後2時からトークショウがあったことをすっかり忘れていました・・・。
あぁ、聴きたかったなぁポロリ惜しいことをしました。

明日でひとまず新宿展が終わって、日本橋→京都→横浜と巡回します。
デパートの美術画廊なので入場無料だし、お買い物のついでにいかがでしょ?
どんな年代の人でも楽しめる個展ですよんラッキー

2008年6月4日(水)〜6月17日(火)高島屋新宿店10階美術画廊
2008年6月25日(水)〜7月1日(火)高島屋東京店6階美術画廊
2008年7月9日(水)〜7月15日(火)高島屋京都店6階美術画廊
2008年8月13日(水)〜8月19日(火)高島屋横浜店7階美術画廊
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スイーツレポートばかりとなったブログ。
読んだ人が「食べてみたい!」と思ってもらえたら嬉しいなぁ。
そんなことを願いながら綴っています。
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