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ゴールデンスランバー
評価:
伊坂 幸太郎
新潮社
¥ 1,680

atsuminにお借りした「ゴールデンスランバー」。
伊坂幸太郎作品を最近よく読んでいて、その流れでこの作品を読んでみたい!と思い借りたのですが、なんと1月に映画が公開されるのね劇場で予告編を見てビックリしました。
しかも主演は堺雅人。ちらっと予告編を見ただけですが、登場人物のキャラクターと世界観がぴったりで、かなり期待できそう

ちょっと抜けているところがあるんだけど素直で人を疑うことをしない実直な元宅配ドライバーの青年・青柳雅春が、何者かによって首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられてしまうというストーリー。
濡れ衣を着せられていることに不満を抱きながらも、自分の命が危ないことを悟り、必死で逃げるという逃亡劇です。

元彼女である樋口、同級生だった森田、後輩のカズとの大学時代の懐かしい思い出の回想と行き来しながら進んでいく物語は、何もかもが楽しかった大学時代のゆとりある時間と、足がもつれても、銃を撃たれても必死で逃げ続けなければならない緊張感との緩急が激しくて、ぐいぐいと引っ張られていきます。
青柳と樋口の視点で綴られる第4部は計414ページと長編なんだけど、こんなドキドキをずっと維持できるストーリーって、本当にすごい。
このスピード感を保ち続けられる文章を書く伊坂幸太郎は、本当にすごいなぁと思うばかりでした

イメージのコントロールや情報操作、誰も知らないところでうごめき続ける利害や欲望。
単なる逃亡劇に留まらず、マスコミのありかたや、人間とは?生きることとは?というところまで切り込んでくる深いテーマがいろんなところに散りばめられています。

さすが伊坂作品っていう、「まさかアレとコレが繋がっているとは」という思わず嬉しくなってしまう構成もバッチリ織り交ぜられています。
メインとなる第4部の他、事件のはじまりをテレビでも目撃した樋口と会社の元同僚、視聴者として事件の報道を見ている入院患者、事件から20年後のジャーナリストの寄稿と、様々な人/時間(時代)の視点から見ていくことで、1つの事件なのにいろんな見え方に思えるから不思議なものです。

今回星を4つにしたのは、この前に読んだ「死神の精度」ほど、「あぁ!おもしろかった!!」と両手を挙げて喜べなかったので。
この“苦さ”こそが、この作品の個性といえばそれまでなんだけど、「こうなるしかなかったのね・・・」という思いが残ってしまうのは、どうしても残念でならない
「残念だ」と思えるのは、それほどまでに青柳という人物に心を奪われるからなんだけど。

エンディングである事件から3ヵ月後のエピソードは、どれもホロっとくるものばかり。
特に青柳の両親のシーンは、思わず笑ってしまったと思ったと同時に涙が落ちてました。
それくらい素晴らしいセンスとユーモアに富んだシーンでした

映画だけでも楽しめると思うんだけど、時間がある方は是非原作もお勧めです

本当に単なる偶然なのですが、「ママの狙撃銃」でケネディ暗殺事件が登場し、「ゴールデンスランバー」はケネディ暗殺事件が日本で起こったら的な話でした。
こりゃ、今後はケネディ暗殺事件についての本でも読まないといけないな、なんて勝手に思ったのでした。
book 00:41 comments(0)
ママの狙撃銃
あやちゃんに今回借りた3冊目、荻原浩の「ママの狙撃銃」
以前借りた「なかよし小鳩組」と同じ方の作品。道理でテンポがいいわけだ。

陽子は、結婚し2人の子どもにも恵まれ、念願のマイホームを手に入れて、小さな庭でガーデニングを楽しむごく普通の毎日を送る主婦。
そんな陽子のところに「仕事」をしないか、という連絡が入る。
この仕事とは「暗殺」。幼い頃をアメリカで過ごした陽子は、祖父のエドに銃の英才教育を施され、過去に一度だけ「仕事」をしたことがあったのだ。
家族を守るため、陽子はエドの形見である狙撃用ライフル銃を再び手に取る、というお話。

レミントン、S&Wエアウエイト、ワルサーPPK、デリンジャーetc…銃の名前も知らなければ、口径って何?銃身ってどこの部分?っていうくらいの知識しかない私だけど、それがよくわからなくても陽子の過去の体験談が明らかになっていくたびにストーリーにぐんぐん引き込まれていきます(もちろん銃に詳しければなおさら面白いと思う)。

次期アメリカ大統領選に出馬予定のターゲットを、陽子は仕留めることが出来るのか。そして、陽子に指示を送るKとは誰なのかという、陽子の「仕事」面についてが物語の半分を担っています。
もう半分は、私立中学に通う長女・珠紀の学校生活やいたずら大好き時期真っ盛りな幼稚園児・秀太に振り回されながら毎日奮闘するママとしての陽子や、会社を辞めて同期と共同で起業すると言い出した夫・孝平の事業は上手くいくのか、という家庭生活について。
必殺仕事人として顔と、妻であり母としての顔。このバランスと物語の中で切り替わるタイミングが秀逸でした

そして、深く突き詰めていくと、人を殺すこととは?生きることとは?死ぬこととは?という究極のテーマがストーリーの根幹には流れていて、そんな哲学的なことを考えさせられる味わい深いクライマックスでした。

388ページ・24章に及ぶ長編だけど、どのシーンもワクワクしながらページを進めていけました。
特に陽子の仕事シーンは、まるで映画を見ているかのような気持ちになりますよ。

何度読んでも飽きないと思う&また読みたい!ってことで、星5つをつけました
book 22:13 comments(2)
プラネタリウム
装丁買いで梨屋アリエの『プラネタリウム』を買ってみました
『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞されている作家さんだそうで、ファンタジーとか児童文学好きな私のツボでは?と思ったっていうのも購入理由の1つ

4編の短編から成る一冊で、現実のようで少し違う世界が描き出されています。
舞台は世田谷ならぬ「世界谷」。主人公はここに住む中学生たち。

1話目は、片想いの彼を見るたびに心がキュンとしてしまうあまり頭上の青空を割ってしまう中1・未来と、もてるんだけど恋をしたことがなく自分のキャパを越えてしまうと警報音が鳴り出す中3・美野里がメインキャラクター。
降って来たあおぞらフレークを口にした美野里はその美味しさに驚き、フレークを集めるために未来の恋を応援をすると引き受けるが、いつの間にやら彼は美野里を好きになっていて…という三角関係。

2話目は、背中に大きな翼を持つ男の子・中也が主人公。
自信家の割りに他の人と違う特徴=翼を持つことを受け入れられず、“いい子でいること”に安心しているタイプ。
仲良くなった隣に住む32歳独身実家暮らしの彼氏なし+働きもせず部屋に閉じこもりゲームやアニメ鑑賞に明け暮れる由子もまた、自分の世界に閉じこもることで自分を肯定的に捉えられるタイプ。
とある出来事で、彼女の自尊心が粉々に打ち砕かれ砂となって蟻地獄のように2人を飲み込みはじめる。

次は、足の下に15cmの空間を持つ紘夢先輩と彼女の学習障害を持つ真貴ちゃん、そして不器用だから明るい自分を演じることでバランスを保っている晴実の物語。
晴実は紘夢先輩が描いたイラストに惚れ込み、いつの間にやらその「好き」の気持ちはイラストから先輩へのものにと変わっていた。彼女の片想いの行く末は?

最後に登場するのは、衣生(いなり)と磨布(まふ)という女の子2人組。
「私は、森になりたい」と言っていた衣生が、ある日、人間から木に変身を始め、やがて大樹となった衣生の下で暮らし始める磨布。そこに磨布の父親が木を倒しにやってきて…。

思春期が、いろんなことに傷つきそして成長していくための時期とするならば、この4つの物語はファンタジー的な要素を加えた青春小説って言って間違いないです。
それぞれの持つ特殊能力(?)の設定も、想像力豊かで設定自体はとても面白い
きっとこの人は、幼い頃に持っていたぐるぐる渦を巻くというか枯れることのない泉のようなずば抜けた想像力を、年をとっても持ち続けている作家さんなんだと思う。

ただ、ファンタジーっていうジャンルにありがちなんだけど、その世界観を素直に受け止められないと物語自体がとても怖く、グロテスクなものに感じてしまう
私は「あおぞらフレーク」は楽しく読めたんだけど、第4話の「つきのこども」はどうしても受け入れられませんでした
怖いと思わせるほど描画力がある文章とも言えるんだけど、近くに置いておいて繰り返し読みたい本か?と考えると、怖くて近くに置いておきたくない…かな

また、主人公の子ども達を通して親の存在についても考えさせられます。
この4編の物語に登場する親全てが、実に危うい
どの作品も、親と子のあり方に警鐘を鳴らしているように思えました。

というわけで、今回は星2つで。

book 12:22 comments(0)
ときどき意味もなくずんずん歩く
カッコイイ言葉で表せば「旅好き」な宮田珠己さんのエッセイ本なのですが、まず最初に思った言葉は「この人…あほ?」でしたw
いい意味ですよ、とてもいい意味で「あほ」ですwww

のっけのエピソードから、まずぶっ飛んでます。ちょっとご紹介するとこんな感じ。

利尻島一周に意気揚々と出発。「島なんだから海岸線を一周できる」と思っていたのにどんどん山の中に続いていく道を無視して、敢えて海岸線をずんずん進んでいくと海岸すらなくなり、やがて切りだった崖を横歩き。
仕舞いには横歩きできるほどの場所もなくなり、カメラは濡らしちゃいけないと頭の上に掲げつつ、着衣のまま水泳状態。
ここまで来てようやく思う。
「…俺って遭難してない?」

いやいやいや、もっと早く気付こうよっていうか、そこまでしてなぜ海岸線一周にこだわるかw

と、思わず本にツッコミをバシバシ入れてしまいたく、そんなエッセイです。
電車の中で読むのは、ちょっと危険です。なぜって思わず笑ってしまうから。
コミックエッセイにはこういう感じのものが結構あるけど、それを文字だけで表現しきってしまうんだから、実はすごい。

広告制作会社のサラリーマンを辞めて、物書きになった著者の宮田さん。
世界中を旅して回るすごい行動力のある人なんですが、どこか抜けてるっていうか、それでも憎めないっていうか、とにかく不思議な人です。
シュノーケルで沖合いまで泳いで行っちゃったり、日本はもちろん世界のジェットコースターを乗りまくりいつの間にか「ジェットコースター評論家」の肩書きになっていたり、サラリーマン時代には取材で原子炉の中に入った経験があったり。

数々のエピソードもさることながら、この人の文章がまた独特。
まるで女子高生のおしゃべりを聞いているようにネタがあっちいったりこっちいったり。
「そんなどうでもいいこと、なんでこんなに膨らませるの?」って思っていたら案の定主題であったはずのネタがラスト数行で強引にまとめられていたり。
本当にまるでジェットコースター。
何がなんだか分からないうちに終わっているんだけど、最後に「面白かったねぇ」って納得するような感じです

タイトルも「なんだそりゃ?」って思わせるものが多い。
・スチュワーデス=ゾウガメ理論
・ディープうどんインパクト
・カヌーせっかく買ったんだから方式
・ゴージャスなミックスパーマにしましょう
・水中メガネは二度海ですべる
などなど。初っ端からタイトルの意味に触れる回もあれば、最後の最後までわからない回があったり、本当に一筋縄ではいかない。

だから、思ったまま書いてるのかな?と思ったら、あるエピソードで「1日(原稿用紙)6枚は、私に言わせれば致死量に近い」なんてあるので、どう書けば面白い文章になるかってことをものすごく考え抜いた上で、あっちいきこっちいきの文章を書いていらっしゃるってことなので、芸人さんのネタ書きに近いものがあるんじゃないかな?

と、レビューを書くに当たっていろいろと考えてみましたが、読むのはまったく考えることを必要としないちょっとばかばかしいエピソードばかりですw
気分転換したい時や気分が落ち込んでる時に、な〜んにも考えずに読むのがお勧め
book 17:15 comments(0)
マルコヴァルドさんの四季
岩波少年文庫の「マルコヴァルドさんの四季」を読みました。
対象年齢は小学5・6年生からの本なんだけど、むしろ「星の王子さま」同様大人でも楽しめる、大人なら大人なりの解釈が出来る本だと思います
タイトルに“四季”とあるように、春夏秋冬が5回巡ってくる計20話が収録されている短編集です。
20話もあるので読み応えバッチリ
何気に下手な小説読むより、絶対こっちのほうが面白いと思う。

イタリアのとある都市で、奥さんと子ども4人と一緒に暮らすマルコヴァルドさん。
道に植えられている木々や公園の植物から、季節の移ろいを敏感にキャッチできるマルコヴァルドさんは、いつも「都会の生活は自分には合わない」とぼやきながら、一家の生活を守るため、一家の大黒柱として毎日肉体労働で汗水流しているんだけど、貧しい生活からなかなか脱却できません。

渡り鳥の群れを見たら他の住民も使っている屋上の共同物干し台にトリモチを塗って鳥の捕獲を試みたり、入院先の病院で飼っていたウサギを退院の日に盗み出したり、つまり、おなかを満たせそうなものを見つけると、「それって軽犯罪じゃない?!」っていうことを衝動的にやってしまうマルコヴァルドさん。

どの話にも必ずオチがあって、「ほら〜、言わんこっちゃないんだから」ってついつい本にツッコミを入れてしまうようなコメディー要素たっぷりです

渡り鳥を捕まえようとして塗ったトリモチは大家さんの洗濯物をダメにしてしまうわ、連れ出したウサギは恐ろしい感染症のサンプルテストに使っていたウサギだということがわかり町中大パニックになったり、濃霧の中バスの停留所を探していたのにいつの間にやらインド行きの飛行機に乗り込んでしまったりと、必ず最後に痛い目にあってくれますww

彼の自然を愛する“いい人”の部分と、貧しさに負けて突拍子もないことをしでかしてしまう“弱さ”が上手い具合に混ざり合って、ただ一生懸命生きているのに滑稽で憎めないキャラが最高
気持ちの変化の描写もとても上手くて、“人間らしさ”がにじみ出ているユーモア溢れるお話ばかりです。

さらにたまに登場するイラスト挿絵がまた素敵
ひょろっとした体格に困ったように垂れ下がった眉。短く刈り込んだ髪の毛にジェントルマンな雰囲気をかろうじて残しているヒゲ。首元でキュッと結ばれた赤いハンカチーフがトレードマーク。
決して挿絵の数は多いわけじゃないんだけど、頭の中をこのキャラクターがストーリーに合わせて動き回ってくれて、まるでアニメか映画を見ているような気分になれました。

最近のご時勢を反映して書かれた本なのかと思いきや、、この作品が描かれたのが1952〜63年
50年以上も前に書かれた作品だというのに、まったく古臭さを感じません。
民話や昔話、日本で言うと落語?と似ている単純明快で思わずくすっと笑ってしまうような展開なので、どんな世代の人にも受け入れられるお話だと思うんだけど、その舞台となっているマルコヴァルドさんの生きる都市は、今の日本にもピッタリ来るのが不思議
「働くお父さん」が主人公だから、たくさんの人の共感を得るんだろうなぁ。

例に挙げたストーリーの他にも、たくさん面白い話が入っているので(私のオススメは「別荘は公園のベンチ」「ハチ療法」「土曜の午後、太陽と、砂と、まどろみと」の3本)、短編なので1話読むのに時間もかからないし、大の大人が少年文庫?とか思わずに一度手にとってみたらはまっちゃうかも?!
book 23:00 comments(0)
チョコレート・アンダーグラウンド
評価:
アレックス シアラー
求龍堂
¥ 1,260

風邪をこじらせて寝ているしかできないので、読み終えてなかった本を読むいい機会だと思い、この本を手に取りました。「チョコレート・アンダーグラウンド」。
今年のバレンタインに合わせてアニメ映画化されたこともあって、知ってる人も多いかも。
本編は505ページ、本の厚さは約3.2cmもあります

舞台はたぶんイギリス(ポンドとか、イギリスの地名がよく出てくるので)。
国民が政治に無関心だったことによって(=国政選挙に投票に行かなかった結果)、第一党となった健全健康党は国民の健康を守るためという理由で、お菓子や砂糖を使った食品の製造・販売を禁止する法律を制定。
町中に健全健康党員がお菓子を所持している犯罪者はいないかと探し回り、チョコレート探知機なる機械まで発明して取り締まっていた。
見つかった場合は、5000ポンドの罰金または懲役刑。子どもの場合は甘いものが嫌いになる再教育施設へ移送。

お菓子が大好きなしっかり者のハントリーと行動力抜群のスマッジャーはチョコレートが食べたい一心で、古本屋のブレイズさんから入手したチョコレートのレシピを元にお菓子を自由に買えていたこと毎日のように通っていたバビおばさんのお店で、押収を免れていたカカオバターや砂糖を使ってチョコレートの製造・密売を開始。
元防空壕を地下チョコレートバーに改築し、商売が軌道に乗り始めた矢先、スマッジャーとバビおばさんが健全健康党員に連行されちゃって…。
スマッジャーとバビおばさんは無事に帰ってこれるのか?!
そして、ハントリーとブレイズさんはチョコレートを食べてもいい世界を取り戻せるのか?!というお話。

私が大好きなチョコレートを題材にしているお話なのに、なぜ今まで読破できなかったのか。
その理由は、折り返し地点で間延びした印象を受けてしまったから。
「一気に読みきりました!」っていうれレビューが多いんだけど、私には続きを読みたい!って思わせるもう一味が足りない、例えるなら、塩気があと少しあればひきしまるのに!って感じでした。

無駄なエピソードはないと思うんだけどなぁ。
あと、ストーリーの中で時間がどれくらい経ってるのかがわからないっていうのもひとつの要因かも。
チョコレートが禁止される日からストーリーが始まるんだけど、エンディングはそれからどれくらい経っているのかがわかりません。
つまり、健全健康党とのバトルがいまいちわからない…

子供向けならもっとテンポよく進めて話をコンパクトにまとめていいと思うし、大人をターゲットにするならもっと深く政治的な側面から切り込んでいってよかった気がする。
なんとなくどっち付かずな感が否めません。なので私の評価は星3つ。

でも、スリリングで爽快なエンディングは最高です
最後の章まで来れば、ワクワクドキドキなラストが待っています 
それは読んでのお楽しみにしておくのがいいと思うので書きません。

そして、何より読み終えた後に絶対チョコレートが食べたくなりますw
なので、夜寝る前に読むのはオススメできませんww

book 22:29 comments(0)
ふたつのスピカ
会社のatsuminが「面白いから読んでみて!」と貸してくれた『ふたつのスピカ』。
NHKでドラマ化されていたのは知ってたんだけど、なんとなくあらすじだけ知っていて(正確に言うと知った気になっていて)、別に読まなくても〜なんて思っていたんだけど、読んでみるとコレが面白い

ほのぼのとした絵に、ちょっとファンタジーな要素を交えつつも、一貫して描いていたのは夢に向かって努力するひたむきさ・がんばりと、お互いを支えあうことが出来る本当の友情の物語。
この16巻で、いよいよフィナーレを迎えました

主人公・鴨川アスミの夢は、宇宙飛行士になること。
小さい頃から、彼女にしか見えないライオンさんという幽霊と一緒に宇宙飛行士になるための練習を積んできたアスミは、中学卒業を期に男手一つで育ててくれた父親の元を離れて、東京の宇宙学校に入学。
毎日厳しいトレーニングをこなしながら、同じ夢を目指す幼馴染の府中野、超が付くほどマイペース(でもしっかり勉強は出来る)秋、天真爛漫キャラのケイ、クールに見えるが人一倍頑張り屋さんのマリカと充実の高校生活を送り、友情を育んでいく青春ストーリー。

最終巻を迎えるまでには、数々のドラマがありました。
厳しいトレーニングのエピソードはもちろんのこと、ライオンさんがなぜ幽霊になったのか。
アスミのお母さんはどうして死んでしまったのか、お父さんはなぜ過酷な肉体労働をしていたのかという、登場人物それぞれの過去(人生)が“宇宙"という軸で繋がっていて、奥深いストーリーになっています。

もちろん、アスミたちの成長もこの漫画の素晴らしいところ。
アスミがひそかに恋心を寄せるエピソードや、ケイちゃんの片想い、素直じゃない上に不器用な府中野くんなど、恋愛感情が絡みながらも、実に爽やかな。
マリカの出生の秘密や秋の病気など、「生と死」についても描かれていて、物語の大きな山場になっています。

アスミの16歳〜18歳までを中心に、彼女と彼女を取り囲む人たちの約20年を描いた全16巻。
フィナーレを飾る16巻は、これまでの物語をふんわりと包み込むような優しさと、誰もが納得して読み終えられる説得力のある素晴らしいエンディングでした

最終巻は、物語の流れとテンポをを引き継ぐ意味も含めて15巻からぶっ通しで読むのがおすすめです

あまりネタバレを書くつもりはないんですが、最終巻はライオンさんが天に昇っていくシーンが素晴らしかった
18年共に過ごしてきたライオンさんとの別れもさることながら、府中野くんの優しさが現れる場面で、別れでありながら未来を感じる素敵なシーンでした。私はこのシーンが一番のうるうるポイントでした。

未来といえば、もう一つ。
ライオンさんに入れ替わりで登場するウサギさん。
ウサギさんの登場は、ビックリであり「16巻まで読んできてよかった〜」って思わず感涙してしまう読者へのプレゼントのようなエピソード

読む人の世代を選ばず、どんな人でも受け入れられるし楽しめる物語だと思います。
学校の教材に使ってもいいんじゃないかと思うほどのクオリティの作品です

book 12:25 comments(3)
プール―ここにいるみんなが幸せでありますように
評価:
桜沢 エリカ
幻冬舎
¥ 1,000

映画「プール」のマンガを読みました。

マンガは桜沢エリカさん。
これはちょっと意外でした。
そんなにたくさんの作品を読んだわけじゃないので、本当に勝手なイメージなのですが、私の中での桜沢エリカのキーワードは「オシャレ」そして「都会的」「スタイリッシュ」。
そんな彼女が濃厚な土の香りが漂うようなタイ・チェンマイを舞台に描いたとてもスロウなお話を手掛けたことに少し驚きました。

22歳の誕生日を迎えた“さよ”は、大学の卒業旅行代わりに5日間の1人旅へ。
行き先は、母が働くタイ・チェンマイのゲストハウス。
自分のやりたいこと=仕事に生きてきた母と、本当は甘えたかったのに甘えたい時にそばにいてくれなかったことに、ずっと苛立ちと淋しさを感じていたさよ。
母娘2人、そして彼女達を囲む3人(2人の日本人と1人のタイ人の少年)それぞれの人生のターニングポイントとなったであろう数日間が描かれています。

ターニングポイントと言っても、いきなり場面が変わるような劇的なものではなく、思い返してみると「あの瞬間がターニングポイントだったなぁ、きっと」と言えるような、そんな穏やかな時間が流れています。

全体的に緩い雰囲気が漂っているけど、決してだら〜んとした印象ではありません。
登場人物それぞれの個性はとてもしっかりしてるし、作品全体のリズムが心地よい。
急がず焦らず、自分の一番ベストな速度で歩いている感じ。

印象に残ったシーンは、タイトルにも付けたけど、さよがコムロイ(火を灯して飛んでいく熱気球)に願った「ここにいるみんなが 幸せでありますように」。
マンガなんだけど、夏の空気、キラキラと瞬く星、通り過ぎていくそよ風までもが感じられる、とても素敵なシーンでした

あとは、もたいまさこさん演じる菊子がそっくりすぎで思わず頬が緩んじゃったw

よし、今度映画を見に行こう。
小林聡美さんのギター弾き語り演奏が楽しみだ


book 23:22 comments(0)
広告コピーってこう書くんだ!読本
こないだR25のブックレビューで紹介されていたのを見て、かなり興味を惹かれたので買ってみました。

著者の谷山雅計さんは、新潮文庫の「Yonda?」や日本テレビの「日テレ営業中」、東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」など大手の広告を手掛け、その世界の第一線で活躍を続けているコピーライター。
そんな彼が、この本のタイトルの通り「広告コピーってこう書くんだ!」→「広告コピーを考えるための頭を育てるには」ってことが書いてるのが、この本です。

ハードカバーですが2時間足らずで読みきれちゃいました。
書いてある内容は、当たり前のようでつい見落としがち・忘れがち・気付かないで過ごしがちなことが、とても判りやすい言葉で綴られています。
広告=人に伝え人を動かす力を持つ言葉と捉えるならば、この本1冊が彼の“広告”かも。

本の中に「Yonda?」の提案書が収められているんだけど、これがビックリするほどシンプル&無駄がない=隙がない提案書で衝撃的でした
ここまでシンプルなものを作るには、ものすごく時間をかけて考えてからじゃないと作れない。
「考えながら作る」じゃなくて、「考えてから作る」。
じっくり考えて筋道が通っているからこそ、無駄な贅肉をそぎ落とし言いたいことをコンパクトにまとめても説得力のある提案になるんだなぁ。

最近、広報の仕事にも携わるようになったり、インターネット広告の文言を考えたりと、「伝えたいことを的確に伝えるには?」とか「よりいい効果をもらたす言葉はなんだろう?」とか考えることが多くなってきたので、この本を読み終えて「あぁ!そうか!」という気付きがたくさんありました。

「なぜ」それがいいものなのか
「何を」受け手に伝えたいのか
作り手のエゴではなく、受け手がどう捉えるかを意識すること

人に何かを伝えるためにはの3つがポイントってことじゃないかな。
人と関わり相手に何かを伝えること仕事をしているどんな人(営業や販売員はもちろん、事務職だって技術者だって)にも通じることだよね
つまり、人が社会の中で生きていくためのポイントを挙げている本って言ってもいいかもしれない。

広告業界の人に限らず、考える力や伝える力を養いたいと思っている人にはかなりオススメの1冊です
さらっと読めるので是非どうぞ
book 00:09 comments(2)
ふたりはともだち
評価:
アーノルド・ローベル
文化出版局
¥ 998

先日眼科に行ったら、待合室にある絵本の入れ替え時期だったようで「古い絵本を自由に持って帰っていいですよ」とのこと。
普通小学生くらいまでの子が貰うんだろうけど、27歳の大きな女の子(=私)も貰ってきちゃいました

それが、この『ふたりはともだち』。
前から「いつか買うぞ」と思っていた本だったので、もうこれは貰うしかないぞ!と
カバンの中にしまうタイミングがなかなか掴めず、ちょっとあたふたしちゃいましたけど

1972年初版。そして、頂いてきた2005年12月9日付けのものは、なんと149刷
30年以上前に発表された超ロングセラーな一冊です。

しっかり者で頭の回転が早いかえるくんと、ちょっぴりおっちょこちょいながまくんが繰り広げる、じんわりあったかいストーリー5編が収録されています。
どのお話にも、しっかりとしたストーリーがあって、絵本だけど読み応え抜群です

私が特にお気に入りなのは、最初に収録されている「はるが きた」。
4月になって「春が来た!」と早々と冬眠から覚めたかえるくんが、寝ぼすけのがまくんを起こしに来たお話。
がまくんが目を覚ますくだりが、落語?!って思ったくらい素晴らしいオチでした
この1話目ですっかり2匹のかえるのとりこになりますよ。

続く「おはなし」と「なくしたボタン」は、2匹の友情物語。
がまくんのおっちょこちょいぶりと彼の人間味(かえる味?)溢れる優しさが垣間見れるストーリーです。

4話目の「すいえい」は、私にはよくオチがわからなくて・・・
というわけで、余り印象に残らず・・・。笑いのツボがわからなかった・・・。

最後の「おてがみ」は、とても心温まるお話。
最近はメールが一瞬で届いちゃうけど、手紙が届くのをわくわくしながら待つって、なんだかとても嬉しいことだったなぁと思い出させてくれました。

「友達がいるってとても素晴らしいことなんだよ」っていうのを教えてくれる素敵な絵本です
book 18:59 comments(0)
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スイーツレポートばかりとなったブログ。
読んだ人が「食べてみたい!」と思ってもらえたら嬉しいなぁ。
そんなことを願いながら綴っています。
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