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熊田千佳慕さんの美しい虫たちの世界
日曜日、銀座松屋で行われている「99歳の細密画家 プチ・ファーブル 熊田千佳慕展」に行ってきました。
白寿、そして、ライフワークとしてきた『ファーブル昆虫記』の新作が約10年ぶりに発行されたことを記念して企画された全国巡回展で、その皮切りがこの東京展です。

展覧会は「絵本館」「植物館」「昆虫館」「動物館」「ファンタジー館」「制作の小部屋」の6部構成で、約200点が出展されています。

虫全般がとても苦手な私なんだけど、クマチカさんの描く虫たちは実にかわいらしく、そして美しい
虫と同じ目線で地面に這いつくばりながら見て、良く見て、そして見極める。
その場でスケッチはとらずに、自分の頭の中にその虫の造形美をインプットし納得してから描き出す世界は、とても繊細で90歳を過ぎてもメガネをかけないというその観察眼には驚くばかりです。
表情がない虫たちなのに、台詞や個性を感じることが出来て、さらに描き出された世界の中でどんな風にストーリーが広がっていくのかイメージしたくなります。

植物も同じで、緑がイキイキと輝き、見事に咲き誇っている花のもっとも美しい瞬間をそのまま切り取ったよう。
葉脈や光の当たり加減で微妙に異なる色の変化を、絵筆一本で描いているなんて想像できません
そりゃあ、一枚に数年を費やすこともあるっていうのがうなづけます。

動物は、虫と違って表情があるからさらにキュートさが増しています
自分達夫婦をイヌに見立てて描いた自画像をはじめ、ネコ、ウサギ、キリン、カンガルー、パンダ、サル、ライオン、クマ・・・見応え十分すぎるほど、魅力的な動物達の表情を見事に捉えています。

あと、クマチカさんの作品で面白いのはタイトル。
たまに「こんなタイトルつけるのねw」って思わず笑ってしまったり、吹いてしまいそうなタイトルがあって、ユーモアセンスに富んだ人だったんだなぁって思いました
ネコの絵に「ミャーン」って。反則すぎるくらいカワイイ

展覧会の開催を見届けるかのように、翌13日、クマチカさんはこの世を去られました。
会場入り口には、生前に千佳慕さんが書かれたごあいさつ文と近影写真、そして、ひっそりとお花が生けられていたのが、とても印象的。
「やぁ、いらっしゃい。楽しんでいってね」とでも言ってくれているような、そんな優しい笑顔のクマチカさんが迎えてくれます。

目をキラキラ輝かせて、虫や植物を見つめ続け、それを描き続けた一人の“少年”。
私が持っているクマチカさんのイメージはこんな人。
でも、その生涯は苦労の連続だった方です。

1911年(明治44年)生まれ。得意の絵を生かしてグラフィックデザイナーとして就職するも、戦争に召集。
体が弱かったこともあって、前線に配備されることなく実家に戻ることが出来た直後に真珠湾攻撃が起こり、非常に苦しい生活を余儀なくされる毎日。
終戦後は、本名の熊田五郎として絵本作家としてデビューを果たしました。
今回の展覧会にも1950年代に発売された「ふしぎの国のアリス」や「オズの魔法使い」「ピノキオ」などが出品されていたんだけど、その細やかな筆遣いとキャラクターの描き方は、外国人作家が手掛けた絵なんじゃないかと思うほど、オシャレ・かわいらしさ・美しさを兼ね備えていたことに脱帽。

そして、『ファーブル昆虫記』を絵本にするという話が舞い込んできたのが50歳半ば。
それから約10年をかけて書き直しや加筆を行い、1981年にようやく千佳慕版『ファーブル昆虫記』が発売されました。

その2月。絵本の国際コンクールに原画が入選を果たし、一躍脚光を浴びることになりました。
さらに念願かなって、ファーブル博物館で特別にファーブルが着用した帽子を被り、愛用の机と椅子に腰掛けて顕微鏡を覗かせてもらうというスペシャルな出来事も。
この時の様子が写真に収められてるんだけど、全身からワクワクとドキドキが溢れていて、観ているこっちが思わず口元が緩んでしまうような一枚でした。

ファーブル昆虫記のために目標100枚は達成できなかったけど、きっと天国で虫や植物と戯れながら、続きを描いていらっしゃるに違いないと思います

私も小さい頃は虫をじーっと見ながらこんな風に見えてたかもなぁと、なんだかノスタルジックな気持ちにさせてくれる展覧会です。
大人も子どもも楽しめる、そんな展覧会です

▼東京
2009年8月12日〜24日 松屋銀座

▼京都
2009年9月9日〜21日 京都高島屋

▼兵庫
2010年4月10日〜5月23日 伊丹市立美術館

▼福岡
2010年5月27日〜7月11日 福岡県立美術館

▼名古屋
2010年7月21日〜8月2日 ジェイアール名古屋タカシマヤ
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